「Words and Their Stories」は、VOA Learning Englishの番組。アメリカ英語の表現を1回に1組取り上げ、意味と由来、たくさんの例文で、その表現を学んでいきます。話すのは、書き手でもあるAnna Matteoひとり。広告はなく、音声は朗読だけ。
これまで測ったBBCの3番組とは作りがかなり違うので、同じ物差しで計測しました。対象は直近の5回(2025年2月20日〜3月13日公開)です。先に書いておくと、この番組の新規配信は2025年3月で止まっています。
実測の数字。本編3分33秒、語速は平均106WPM
まず長さから。ファイルは3分20秒〜5分14秒で、前後に付くのは音楽だけ、広告も他番組の案内もありません。本編は平均3分33秒でした。本編の語数は平均375語です。
語数から割ると、語速は1分あたり平均106語になります(回によって102〜117語)。これまでの実測ではBBCでいちばん遅かった「Learning English from the News」が平均150、「6 Minute English」が162、「The English We Speak」が167でした。この番組は、これまで測ったものよりもはっきりと遅い。
発話している時間だけで割っても平均131語で、文と文の間に長めの間を取る読み方です。VOAの案内にある「通常の英語より約3分の1遅い」という文言どおりの数字が出ました。
話すのは原則ひとり。5回のうち1回だけ、旧制作の再放送で朗読が2人であるケースも。
語彙は頻出語リストのNGSL(2,801語)と照合しました。カバー率の平均は、上位1,000語で85%、上位2,000語で90%、リスト全体で93%です。測った4番組の中で、全体のカバー率はこれがいちばん高く、リストの外に出た語は平均7%でいちばん少ない。
リストの外に出た語の顔ぶれも、だいたい決まっています。中心は、その回に教える表現そのものです。キノコの回では mushroom の一族が16回、ダイヤルの回では dial の一族が8回出てきました。つまり、知らない語の多くは、番組が意味と例文を付けてくれる語です。
公式サイトに載るテキストが、読み上げの台本そのものだという点も特徴です。文字起こしとの一致度は、照合できた4回で平均0.972ありました。聴いて分からなかった箇所を、文字でそのまま確かめられます。
BBCの3番組と何が違うか
BBC Learning Englishの6 Minute Englishの実測記事The English We Speakの実測記事Learning English from the Newsの実測記事と並べると、速さがまず違います。平均150、162、167に対して106で、この番組だけが一段と遅い。語彙は、頻出2,000語のカバー率が85%、87%、90%に対して90%で、The English We Speakと並んで易しい側です。
音の作りも違います。イギリス英語で司会2人と挿入音声のBBCに対し、こちらはアメリカ英語の朗読ひとり。広告が配信の約3分の1を占めるBBCに対し、こちらは広告がありません。
中身は、表現1つ、話題1つ、ニュース1本と語彙3つに対して、こちらは1つの語・表現の広がりと由来を追う形です。いちばん大きな違いは更新で、BBCは毎週の新規配信が続いていますが、この番組は2025年3月で止まっています。
向く人、向かない人
向くのは、頻出2,000語を固めている途中で、BBCの番組だと速さで詰まってしまう人です。試験の数字に置き換えると、TOEIC 400〜550前後、英検準2級〜2級あたりが入り口の目安と考えられます。
頻出2,000語で90%届く水準なので、つまづくのはほぼ、その回に教える表現のところだけになります。1回3分半、広告なしという軽さもあって、毎朝1話ずつアーカイブを進めていきやすい。表現の意味だけでなく、greenhorn のように語の由来まで知りたい人にも向きます。
向かないのは、まず自然な会話の速さに慣れたい人です。この番組の遅さは学習用に設計されたものであって、実際の会話はこの2倍近い速さで進みます。
毎週の新しい回をフォローして学習習慣を作りたい人にも向かないでしょう。新規配信は2025年3月から止まっています。会話の掛け合いや複数話者の音に慣れたい人も同様で、この番組の音声はひとりの朗読で、言い直しや重なりのある生の会話は出てきません。
3分33秒の使い方
聴き方は、まず文字を見ずに通して聴くところからです。その回の表現が何を指すのかを、例文から推測します。
次に、公式サイトの各回のページで、全文テキストと用語解説「Words in This Story」を確かめます(エピソードのページ)。テキストは台本そのものなので、聴き取れなかった文をそのまま見つけられます。
最後に、その回の表現を使った例文を2〜3文だけ選んで、短く区切って繰り返し聴きます。3分半の回なら、ここまでで10分ほどです。アーカイブは話数が多いので、最新側から遡るより、身近なテーマの回(食べ物、色、体の部位など)から拾うほうが続きます。
区切って繰り返す段階では、Rehearも選択肢になります。『語学中毒。』運営が作っているリスニング練習アプリで、聞き取れなかった例文だけを短く区切って繰り返し聴く、という使い方ができます。Rehearでこの回を開くこともできます。
ほかのサービスでは、Apple Podcasts でも聴けます。
気をつけたいのは、まず新規配信が止まっていることです。いちばん新しい回は2025年3月13日公開で、それ以降のエピソードは公式の配信でも確認できません。時事に触れる回は内容が古くなりますし、続きを待つ番組としては使えません。
もうひとつは、古い制作の回が混ざることです。今回の5回でも1回は旧制作の再放送で、尺が約5分と長く、朗読も2人でした。アーカイブを遡るほど、始まりの言い回しや形式の違う回に当たります。数字は直近5回の平均として読んでください。
まとめ
合うかどうかは、1回通して聴けばだいたい分かるはず。例文の意味が追えて、止まるのが新しい表現のところだけなら、この番組から始められます。
目安は今回の数字で、語速は平均106、頻出2,000語で90%。BBCの番組で速さに詰まる人にとっては、この1本がいちばんの入り口になります。新作は出ませんが、アーカイブの話数は十分にあります。1日1話ずつ表現と由来を拾い、楽に追えるようになったら、次はBBC側の番組へ上がっていく使い方が合うでしょう。
