『金のフレーズ』を開いて最初の100語で手が止まるなら、実力の問題ではなく順番の問題だ。金の見出し語1,000は600点レベルから始まる。現在地が400〜500点台なら、その手前に基礎専用の1冊を挟むほうが結果的に速い。
それが『銀のフレーズ』で、2018年2月発売、TEX加藤、979円(税込)。金と同じ著者が、TOEICに頻出する基本単語だけを1,000語に絞った入門編にあたる。銀は「易しい金」ではない。収録語そのものが基礎側に置き換わった、別の1,000語だ。
担当範囲はスコアで決める。銀の1,000語の内訳
銀の見出し語は1,000。内訳は基礎の400語、頻出の300語、必須の200語、発展の100語という4区分だ。担当範囲は現在のスコアで切る。400点台前半なら、基礎400と頻出300の700語までを担当にする。
発展の100語は最初の2周では捨てる。500点台なら全1,000語を担当にしていい。巻末の補足語彙は回す対象に入れない。分からない語が出たときに引く辞書代わりに置く。
そもそも銀から始めるべきかは、数字で判定できる。金の最初の区分「600点レベルの400語」を試し読みし、意味を即答できない語が半分を超えるなら銀から入る。即答できない語が3割以下なら、銀を飛ばして金でいい。この判定に使うのは10分だけだ。感覚で選ぶと、たいてい背伸びした側を選んで途中で止まる。
回し方は金と同じ。紙で判定、音声で回転
音声は全語・全フレーズ分が無料でダウンロードでき、abceedでも聞ける。使い分けは金とまったく同じで、紙の本は分かる・分からないの判定用、音声は回転用にする。判定は1語10秒を目安に速く回す。
意味が口から出なければ、その場で覚えようとせずチェックだけ付けて先へ進む。覚える作業は2周目でやる。1周目に丁寧にやると、700語に届く前に日数が尽きる。
短く区切って何度も聴き込みたい人には、Rehearも選択肢になる。『語学中毒。』運営が作っているリスニング練習アプリで、聞き取れなかったフレーズだけを繰り返し聴く、という使い方ができる。
学習ログに残すのは3つだけ。その日やった範囲、即答できなかった数、所要時間。銀で大事なのは「知らない語の絶対数」だ。
1周目の冒頭100語で即答できない語が60を超えるなら、中学英語の語彙自体が抜けている。その場合は銀の回転数を増やすより先に、中学範囲の復習を2週間挟むほうが安上がりになる。ログがなければ、この切り分けができない。
4週間で2周。試験日から逆算する
標準の配分は4週間で2周だ。1周目は2週間。担当範囲が700語なら1日50語、1,000語なら1日70語を判定だけして全走する。2周目は次の2週間で、チェックが付いた語だけを再判定し、残ったものはフレーズごと音読までやる。
1日30分が取れる人なら、この配分で無理はない。4週目の終わりに担当範囲の即答率を数え直す。ここが次の判断材料になる。
試験まで2週間しかない人は、周回数を落とすのではなく範囲を落とす。基礎400と頻出300の700語を2周するほうが、全1,000語を1周するより点になる。逆に試験まで8週間以上ある人は、銀を3周目に入れない。
2周で区切って、残りの期間を金の担当範囲に充てる。銀は基礎を固めるための本で、ここで長居しても600点の壁は越えない。
金へ移る条件は3つ。全部そろってから
金へ移る条件は3つある。1つ目は、発展の100語まで含めた全1,000語で、即答できる割合が9割を超える。2つ目は、模試か本番で550点以上を取る。3つ目は、リスニングで「聞き取れたのに意味が取れない」失点が目に見えて減る。
3つがそろえば、銀の役割は終わっている。金の側の担当範囲と回し方は『金のフレーズ』増補改訂版の使い方で切り分けている。銀と金で重なる語は、金の600点レベル側で復習として再登場する。その分、金の1周目は銀の卒業生ほど速く回る。
逆に、銀を買わなくていい人も決まっている。すでに550点以上ある人と、中学・高校の英語をひと通り終えていて基礎語彙に穴がない人だ。この層が銀を回しても、増えるのは知っている語の確認回数だけで、点は動かない。
あと1つ、文法の基礎が崩れていてPart 5の問題文自体が読めない人は、銀より先に文法書を1冊片づける順番になる。語彙は文法の土台の上にしか積み上がらない。
向く人、向かない人。買い方
向くのは、スコアが300〜500点台で、週5日・1日30分を単語に割ける人。向かないのは、単語を目で追うだけで声に出さない人だ。銀の1,000語はフレーズ単位で覚える設計なので、音読と音声の回転をしないと効果が半分になる。
買い方については、金と違って銀には改訂版が出ていない。2018年の初版が現行版で、中古でも収録語は同じだ。それでも価格差は数百円しかない。音声の入手手順を考えれば、新品の979円(税込)でいい。
購入は『銀のフレーズ』(紙版)から。
